アンティークコイン投資への警鐘

 


アンティークコイン投資への警鐘

ここ最近、相次いでアンティークコインの売却方法に関するご質問を受けておりますが、殆どの方は購入したコインの売却価格について不安を感じています。購入した際、ショップから将来値上がりすると言われたが果たして本当なのだろうかと。

そのような不安を持たれる理由の一つとして、購入コインの買取をしないショップが多いことにあるようです。
大手のコインショップは他店で購入したコインでも即金で買取をしてくれる一方、自ら販売したコインにも関わらず買取をしない、委託販売を勧める事例が少なからずあるようです。

また、自分が所有するコインの価値を把握していない方も多いように見受けられます。
アメリカコインの場合、PCGSやNGCなどの鑑定会社がほぼ全てのコインに関して年代、種類、グレード毎に市場価格を公表しており、容易に現在の相場を知ることができます。
https://www.pcgs.com/prices
https://www.ngccoin.com/price-guide/united-states/

しかし他の国のコインについては鑑定会社も鑑定実績が少なく市場価格も殆ど公表しておりません。過去に顧客からの依頼でヘリテージに価格紹介をしたこともありますが、オークションでの落札事例がなく予想落札価格を出せないと言われたこともありました。

アンティークコイン投資は詐欺の温床!?

世間に存在する投資手法の大半には詐欺話が付きものですが、アンティークコイン投資にも詐欺は存在します。アメリカでも過去に連邦取引委員会が希少コイン投資に対して注意勧告を出しております。
https://www.ftc.gov/news-events/news/press-releases/2010/09/ftc-testifies-about-consumer-protection-issues-arising-coins-precious-metal-investments

詐欺の方法としては偽物の販売は勿論、安いコインをさも価値があると欺いて高値で販売するパターンもあります。
また、明らかな詐欺とは言えなくても、購入者を誤認させようなセールストークを用いて後日トラブルになることも少なくありません(国民生活センターのサイトには、希少コインに関する購入トラブル事例が複数掲載されています)。

コインを買う前に本を買え

アメリカには「コインを買う前に本を買え」という格言があります。
コイン収集(投資)を始める者は、まず自らコインに関する書籍を読んで勉強をすべし、という内容で、ショップのセールストークだけ聞いてコインを購入していても利益を上げることは出来ないことを示しています。

アメリカ政府がコインの鋳造を始めたのは18世紀末ですが、19世紀初頭には既に珍しいコインを収集するコレクターが存在し、200年以上にわたりコインオークションが開催されてきました。
そのような長い歴史を誇るコインの世界で、将来価値が上がるコインを見つけて誰よりも先に手に入れることが極めて困難であることは容易に想像できると思います。

ヨーロッパでは、さらに古くからコインが鋳造されていましたし、古代ギリシア時代などの古代コインも注目を集めています。
ここ最近のヨーロッパコインをメインとするアンティークコインブームの中心は日本ですが、なぜ本国でなく日本でブームなのか?なぜ将来値上がりが期待できる外国のコインが本国で販売されず日本に流入しているのか?
そのような些細なことに対しても疑問を持ってリサーチする手間を惜しまないことが投資に成功する秘訣と言えるでしょう。